いがらしみきお【ガンジョリ】
出版情報
いがらしみきおモダンホラー傑作選
『ガンジョリ』
・作者:いがらしみきお
・短編全4話
・発行所:小学舘
・2007年発行
・定価905円(税別)
集録作品
・ガンジョリ前編
・ガンジョリ後編
・観音哀歌(かんのんエレジー)前編
・観音哀歌(かんのんエレジー)後編
・みんなサイボー前編
・みんなサイボー後編
・ゆうた
作品ピックアップ
ガンジョリ
トオル、ヤマ、イチコ、マミの4人は、
車でスキーに向かう途中、突然降り出した大雪による渋滞にはまります。
まったく動く気配のない渋滞にイラ立っていると、
1台の軽トラックが列を離れるのが見えました。
地元民が抜け道へ向かうと思った4人は、同じく国道を抜けその後を追いましたが
トラックを見失い道に迷う中、あぜ道で『豚』を轢いてしまい
そのはずみで水路に脱輪して動けなくなります。
車の引き上げを助けてもらおうと住民を探して民家を回りますが空き家だらけ。
そんな中ようやく一人の老婆に出会いますが、豚を轢いてしまったことを伝えると・・
『なぬ?豚しいた?殺すたのが?殺すたのが?
豚はガンジョリ様のものだど。
おめら豚殺すたのがっ。ほんとぬ豚殺すたのがっ。
豚殺したらおめらもガンジョリ様ぬ殺されっと。』
![よっぱ](https://yoppablog.com/wp-content/uploads/2020/06/YY.png)
強烈な田舎弁のセリフが恐さをフルに煽っています。
そしてガンジョリ様はもちろん恐いけど、
この不条理がまかり通るド田舎の閉鎖された世界観がめちゃくちゃ恐いです。
ゆうた
噺家・花月亭六平の自宅に、
弟子入り志願の手紙と一本のテープが送られてくるところから話が始まります。
六平は真打になったもののパチンコ通いが止められず、
芸に身が入っていないと社長から発破をかけられていました。
そんなある日、親しい噺家師匠が自殺をします。
思い当たる節のない突然の死に誰もが驚きますが
棺を覗くと、亡骸の顔はなぜか満面の笑みをたたえていました。
別の日。
冒頭に届いていたあのテープを確認すると中身は演目『あくび指南』。
変哲もない素人芸に一通り聞いてテープを切ろうとしたのですが、
最後に何やら奇妙な音がするのです。
![男性](https://yoppablog.com/wp-content/uploads/2020/06/K.png)
なんだこりゃ・・・笑い声?
そして後日、またも噺家仲間が自殺をします。
しかも死に顔は先日の師匠同様に笑顔。。
その時、
突然の死に何か関係があるのではと自殺した噺家の妻が六平に手渡したもの、
それは六平も持っているあの弟子入り志願の手紙とテープだったのです。
![男性](https://yoppablog.com/wp-content/uploads/2020/06/K.png)
えっ、これ・・・オレんとこにも来てたよ!福ちゃんにも来てたの?!
・・・と言うことで、
私のイチ押し『ゆうた』。これ怖いですよ。
そして何度も繰り返し読みたくなる!
![よっぱ](https://yoppablog.com/wp-content/uploads/2020/06/YY.png)
これなんか『世にも奇妙な物語』にうってつけだけどなあ!やってくんないかなあ!
しかしタイトルがなぜ『ゆうた』なのかが、結局分からずじまいで気になります。
昭和の漫画は定価380円
私の中で漫画はイコール古本です。
多くは昔、譲ってもらったり、古本屋で一冊100円程度で集めた為、
大体1000円前後、ちょっとした作品集だと2000円を軽く超えてしまう現在の漫画は、
私の感覚ではかなり高いのです。
気になったものは余さずさっさとレジに持って行く、そんな大人買いはとてもできません。
カバーデザインと帯キャプションを何度も見直し、悩みに悩んで購入します。
それでも結果失敗しBOOKOFFに売るというパターンは減らず、
先日もタイトル買いした漫画にこっぴどくやられ、
![よっぱ](https://yoppablog.com/wp-content/uploads/2020/06/YY.png)
もったいない!もうやめた!
と思っていた矢先。久しぶりに当たりでした♪この「ガンジョリ様」。
「いがらしみきおさん」本来ギャグ漫画家なんだそうですが、
他にもこの手の作品があったら読んでみたいです。