カフカを愛する独特な世界観【西岡兄妹】心の悲しみ・この世の終わりへの旅

カフカを愛する独特な世界観【西岡兄妹】この世の終わりへの旅・心の悲しみ 怖い漫画
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カフカを愛する独特な世界観【西岡兄妹】

この手の画風には奇を衒っただけのモノが多く、

特にA5判でページが少なく価格が¥1300前後のものは要注意。

と、個人的には踏んでいるのですが···

 

西岡BROSIS(···ブロシス??)は良かったです。じわじわきてます。

 

バカな私には深過ぎるのか、作品によっては意味不明なものもありますが

今回紹介する2冊はおすすめ。

 

西岡兄妹【心の悲しみ】

西岡兄妹【心の悲しみ】

出版情報

『心の悲しみ』
・作者:西岡兄妹
・短編全12話
・発行所:青林工藝舎
・2002年発行
・定価1300円(税別)

集録作品

・心が壊れた
・ぼくの子供たちに
・心の悲しみ
・結婚式
・空を飛ぶ
・蛇女
・死神
・わたしの幽霊
・目のある生き物
・釣り師の悩み
・悲しい恋の話し
・人生いろいろ

主観と概要

はじめて西岡BROSISに出くわした時、

よっぱ
よっぱ

このタッチ、この値段、あやしい。経験則的にきっと外す。

そう何度も迷ったのですが、帯に書かれたこの一節↓↓↓

ぼくは 悲しくなんか ない
ただ こことは違う どこか遠くの場所 で
ぼくの心が 悲しんで いる

これにガッチリ捕まれてしまい購入。

 

あと、外カバーは真っ白でシンプルですが、

表紙裏面がパッチワーク風にカラフルという、ちょっとこだわったつくりをしています。

 

作品ピックアップ

空を飛ぶ

空を飛ぶのは簡単だった

…そんなことを思ったり思わなかったりして歩いていると

ふと足元の地面が消えて浮いていた

下り坂に気づかず歩いていた

それだけだった

引用元:西岡兄妹『空を飛ぶ』より

 

その後『3メートルほど歩いて墜落する』というのがリアルで

その飛び方は、夢の自分のそれととても似ていて

だから思わず飛べそうな気がしてしまい

度々読み返してはウットリしています。

 

釣り師の悩み

曖昧な天気予報に腹を立てながら、ある男が釣りに出かける。

港へ着くが釣り場への渡し船は出港した後。

気を取り直し、

干潮時に歩いて渡れる場所を目指すが道に迷い

着いた時にはすでに満ち潮。

岩場を渡るも、足を滑らせブーツに海水が入り込む。

何とか釣り場にたどり着くも

さっき港で見送った渡し船の先客で空きはない。

仕方なしに街へ戻る。すでに昼過ぎ。

日は高く登り、防寒具の下で汗が流れ落ちる。

重い荷物を引きずり続け疲れているが

海水で濡れた男が休める場所はどこみも見つからない。

そのうち北風が吹き、体が冷えてくる…..

 

というような感じで、

何事も思うようにいかず、途方に暮れ、目的を見失い、当ても無く彷徨う。

何とか建て直そうとするも空回りして上手くいかない時のやるせないイラ立ち、

溜息しか出ない、むずむずと嫌な気持ちが思い出されるお話です。

 

西岡兄妹【この世の終わりへの旅】

西岡兄妹【この世の終わりへの旅】

出版情報

『この世の終わりへの旅』
・作者:西岡兄妹
・1巻完結
・発行所:青林工藝舎
・2003年発行
・定価1300円(税別)

集録作品

プロローグ:始まらない始まりの章
その一:パンツ丸の章
その二:海賊船盛衰記の章
その三:人食い虫の村の章
その四:どうして我々は人間の肉を食べなくなったのかの章
その五:失楽園の章
その六:盲目のアラブ人の章
その七:駱駝ホテルの章
その八:「掟の門番」の章
その九:望まぬ帰還 望まれぬ生還の章
その十:この世の終わりの章
エピローグ:終わらない終わりの章

作品ピックアップ

パンツ丸の章

思うところは多々ありますが、一番心に残る言葉は26ページ目。

このまま一生、
精一杯の努力を続けながら、
同じ場所にとどまり続ける人生を思った。
引用元:『パンツ丸の章』より

これ!これこれこれこれ……….これッ!!

この居た堪れない不安感ってどうしたら払拭できるのかな。。

よっぱ
よっぱ

『大丈夫』と思える根拠になる経験を積むしかないとしたら、人生しんど過ぎる。

 

よっぱの戯言

今日【西岡兄妹】を紹介しようと思ったのは今朝見た夢のせい。

極貧の○○人になった夢でした。自分がお父さんです。

額がくっつきそうな狭いトタン小屋で、
傍には娘と奥さんが自分に寄り添っている。

息子もいるけど狭いので外。

子供は二人とも成人しているけど仕事は無い。

自分は不法就労で
有害物質にまみれたネジを磨いている。
金属粉の吸い過ぎで今にも死にそう。
娘と奥さんが無表情に私を見てる。…
愛しい…。…働かないと…。…

苦しい……

って感じの内容でしたが、目が覚めて良かった・・・

よっぱ
よっぱ

塵肺マジ苦しいわ;;(夢だけど)

で、目覚めた時に残っていた閉塞感、焦燥感、不安感。

西岡兄妹の作品は読む者を息苦しくします。

 

絵面インパクト抜群の『鬼城寺健』も必見!


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