傑作幻想譚を漫画化!幸福感と切なさに満たされる「五色の舟」近藤洋子

傑作幻想譚を漫画化!幸福感と切なさに満たされる「五色の船」近藤洋子 怖い漫画
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五色の船 近藤ようこ

五色の船 近藤ようこ

出版情報

・漫画:近藤ようこ

・原作:津原泰水

・発行:株式会社KADOKAWA

・2014年初版発行

概要と主観

近藤洋子作品のイチ押しは何と言ってもこれ!

「五色の舟」

タイトルを口にするだけで体を包むあの世界観。

 

こちらの世界の

かりそめの自分が死んだら

また心はあそこへ戻っていく

色とりどりのボロをまとった

あの美しい舟の上に

参照元:近藤洋子「五色の舟」

 

私の人生の中で、間違いなく最も美しく切ない漫画。

 

さみしいような、切ないような、それでいて満たされたような、この不思議な気持ち。

 

んー、

この感情を拙い我が人生のシーンで例えるなら

 

夏休みの終わり、

夕日が山の向こうに沈んでいくのを

堤防の上から一人眺めていた時に

感じていたような・・・

 

この小説の持つ空気を

漫画で伝えることができる技量って

すごいの一言です。

 

特にすごいと感じたのは

人面牛の「くだん」を読み手の想像に任せず描き切ったこと。

 

人面牛などという特殊な生き物をこれと絵にしてしまったら

画力の問題ではなく、ギャグかグロにしかならない。

 

どっちに転んでも美しい世界観が崩壊してしまう。

私は読み進めいる間中ずっとそう思っていました。

 

それが、

一家がはじめてくだんと対面するシーンでも

私の心が現実に戻されることは一瞬もありませんでした。

(これが、かの「くだん」か)と息をのんだのです。

 

ここに描かれた異形の人たちは、

リアルなら気味悪く、マイルドに書けばコミカルになってしまう。

それを漫画で美しく描ききるなどとても難しいこと。

それをここまで昇華してしまうとは・・

 

互いを慈しみ細やかな幸せを分かち合う。

これ以上なく美しい幸福感に満ち溢れた作品です。

 

あらすじ

皆が赤の他人であり、それぞれが身体に障害を持った5人は、

見世物小屋の一座として日銭を稼ぎながら家族として共に暮らしていました。

 

お父さんと呼ばれる年長の男は

真実のみを話し未来を言い当てるという「くだん」という生き物がいると聞き、

自分たちの仲間にしようと

皆を連れて「くだん」がいる町へと向かいます。

 

ノスタルジックで怖い!宮脇明子の世界


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