自然肺気胸の開胸手術体験談

今でこそ肺気胸の手術は
胸腔鏡という内視鏡カメラを用いた胸腔鏡手術が主流となっていますが
昔は気胸で手術となればすべて開胸手術です
圧迫感からの呼吸困難といった多少苦しい思いはありつつも
手術に至るまで(痛い!)と感じたことがほとんどないのに
治療の方がしんどくて割りに合わないと感じていました

ほっといたらダメかな?
そんな感じで
病気自体に大した恐れもないまま人生初の全身麻酔術が決まったのです

ほんとに手術するの?!
と思った翌朝早々に大学病院に移動
その病院の滞在もたった半日で検査だけ済ませるとまた違う病院に移動
その翌翌日に手術という慌ただしさで
初めての手術を恐がる時間も無かったのは良かったです
そして当日 午前中に手術開始
両親が見守る中これからオペ室へ向かうというその前に
肩付近から筋肉注射を打たれました
これが・・ 肩に射たれたこいつが思いもよらぬ痛さ
岩盤に坑道を掘り進めるような感じ
メリメリメリメリ音がする(気がする)

痛ツ💢
それが終わるとストレッチャーに乗せられ手術室に運ばれ
ドラマでみる絵に描いたようなオペ室に到着
ストレッチャーから手術台に移され照明が眩しくて目が開けられません
その間に吸引マスクがつけられ10も数えず闇の中・・・
人工呼吸器を挿管状態で覚醒し麻酔医の重要性を痛感

目が覚めるとそこは病室で両親の顔が心配そうに覗いている
とばかり思っていましたが うっすら眩しい光が見えた瞬間

苦しい!
私は手術台の上で人工呼吸器を装着したまま完全覚醒していました
鼻にも喉にもチューブが詰まっていて大パニック
麻酔が効いてて体が動かないし まともに息できないし 苦しくて 苦しくて

死ぬッて!
鼻と口のチューブが外されるまでのあの数分間は 私の人生で最も苦しい瞬間でした
死ぬまでそうであってほしい あれより苦しい思いを生きてる間に2度と体験したくないです
チューブが外され呼吸が落ち着くと 周りがはっきり見えてきました
私は様々なチューブに繋がれ真っ裸 その手足を数人の看護師たちにつかまれ
『いっせ~の~せっ!』との掛け声と共にストレッチャーに移されました
手術室を出るまではシーツもかけてもらえず 全裸の自分を何人もの人が取り囲んでいます
恥ずかしいというか情けないというか 当時18才の自分がまるで老婆の様に思われました
と ここまでが 手術直後までの様子です
それにしても 痛かったと言うより怖かった
あんな恐怖が待っているならもう手術など2度と受けられない とその時は思いましたが
これ以降に体験した2度の全身麻酔術では覚醒した時すでに気管チューブは外されていたので
本当に嬉しかったです
呼吸ができないのに呼吸器を外したら死んでしまうので
ある程度の意思疏通ができてから気管チューブは抜かれます
だから完全覚醒前に意思疏通ができていて その時の記憶がないだけなのですが
覚醒のタイミングひとつで地獄をみるという事実が怖すぎます
これは麻酔医の技量によるものらしいです
この体験で執刀医と同等に麻酔医の重要性を痛感しました
胸腔鏡手術は痛み負担は少ないが再発が多い

近年ほとんどの肺気胸手術が胸腔鏡下術で行われるそうです
何かの治療受ける度 多くの医師が私の気胸の手術痕にふれ

この大きな傷って気胸の痕ですか?へー
一様に驚いている風のリアクション
きっと同じ手術したら今はもっとずっと楽なんでしょうね
ですが 気胸の胸腔鏡手術は開胸手術に比べ再発率が2~5倍も高いというデータが出ています
その為 胸腔鏡手術で再発した場合は最終手段的に開胸手術が行われます
以上 参考になさってください
要点まとめ
⭕現在の医学では自然気胸のほとんどは胸腔鏡下術で直る
⭕胸腔鏡下術は開胸手術に比べ痛みや体への負担は少ない
⭕気胸の胸腔鏡手術は開胸手術に比べ再発率が2~5倍も高い


