女ったらしの超能力者『夢幻魔実也』シリーズ
本日は高橋葉介さんの著書『夢幻紳士・怪奇編』をご紹介。
女ったらしの超能力者『夢幻魔実也』が活躍するシリーズです。
ツーベースとシングルヒットでまとまった感じの一冊です。この安定感がいいですねー。
怪奇編2の巻頭にフルカラーイラストが6ページおまけについてます。
高橋葉介【夢幻紳士・怪奇編1】
出版情報
アニメージュコミックススペシャル
『夢幻紳士・怪奇編1』
・作者:高橋葉介
・短編全7話
・発行所:徳間書店
・61年発表
集録作品
・幽霊船
・老夫婦
・吸血鬼
・沼
・幽霊婦人
・首屋敷
・針女
・あとがき
作品ピックアップ
老夫婦
昔、魔法使いが悪戯をして、ある男の妻を鶏に変えた。
男は妻をともに戻してくれと頼んだが、聞き入れられなかった。
そこで男は魔法使いにいった。
『私も鶏にしてください。』
二羽は仲良く暮らした。(古いおとぎ話から)
今作はこれを模したお話。
苦労ばかりの人生を過ごしてきた女が、結婚してこれから幸せになろうという矢先、
事故に合い医者から助かる見込みがないと言われます。
夫はかわいそうな妻のため、嘘でもいいから幸せな人生を与えたいと願い、
夢幻魔実也に催眠術をかけるよう頼みました。
夫の願いは叶い、危篤の妻は笑顔を見せましたが・・・妻は死ななかったのです。
幽霊婦人
夢幻魔実也は先輩である楠本から、自宅に現れる亡くなった夫人の話し相手を頼まれます。
当の楠本は仕事でいった上海で別の女と結婚して戻ってきません。
そのうち楠本夫人の幽霊は寂しさのあまり魔実也を誘惑するようになります。
実は楠本、自分への未練を無くさせる為に、はじめからそうなることを期待していたのです。
高橋葉介【夢幻紳士・怪奇編2】
出版情報
アニメージュコミックススペシャル
『夢幻紳士・怪奇編2』
・作者:高橋葉介
・短編全6話
・発行所:徳間書店
・1987年発表
集録作品
・木精(すだま)
・サトリ
・夢魔
・昇降機
・蜘蛛
・半人形
作品ピックアップ
サトリ
第一章『木精』と第二章『サトリ』共におすすめ。
どちらも人間と妖怪(正確には人間と精霊、普通の人間と超能力者)の悲恋のお話です。
叶わぬ恋が生んだ悲劇のようでありますが、
結果愛する人と共に果てることができたので、ハッピーエンドではないでしょうか。
蜘蛛
これなかなか意外。
継母の正体が実は妖怪ってネタはよくある。
父親が喰われて子供が襲われるってところで誰かが登場して助けてくれるパターン。
そこまでは一緒なんですが、この子供が妖怪継母を慕ったままってところが意外。
助けにきた夢幻魔実也も逃げ出す始末。
半人形
半人形の主人公が冥土の土産に行きずりの夢幻魔実也に抱いてもらうってストーリーです。
どブスだったら求めなかったろうな。。
処女のままあの世行き
巻末に著者のあとがきがありますが、これちょっと嫌だな。
ちょいちょい自虐が混ざってて、現実に引き戻されます。
こっちは入り込んでいるので、そっとしといてほしい。
出版情報
アニメージュコミックススペシャル
『夢幻紳士・怪奇編3』
・作者:高橋葉介
・短編全7話
・発行所:徳間書店
・1989年発表
集録作品
・花火
・鬼
・蛇
・夜会
・夢幻紳士・人形地獄
・遠い道
・虎
作品ピックアップ
花火
死者がみる花火のお話。
水に落ちた妹は、遠のく意識の中で花火をみたと言います。
それから徐々に病んでいき、死に際にも花火が見えるといって亡くなりました。
兄は夢幻魔実也の力を借りて妹がみた花火を見せてもらいます。
妹が他の死者たちと楽しそうに花火を見ていました。
遠い道
学校帰りの男の子。
あぜ道を歩いていると、後ろからお姉ちゃんがやってきます。
お母さんも帰ってきました。お父さんも一緒です。みんな揃っての楽しい家路です。
うちに着きました。
男の子はお婆ちゃんがつくったご飯を一人で食べます。一人でお風呂に入ります。
その間お婆ちゃんはずっと仏壇に向かっています。誰もいません。
お姉ちゃんも、お母さんも、お父さんも、
去年海に行った帰りの自動車事故でみんな死にました。
男の子だけが助かりました。
けど男の子は一人じゃありません。
明日も、家路につけばまた、
お姉ちゃんも、お母さんも、お父さんも、みんな一緒に歩きます。