諸星大二郎【私家版鳥類図譜】
出版情報
モーニングKCDX1694『私家版鳥類図譜』
・作者:諸星大二郎
・短編全6話
・発行所:講談社
・2003年発行
・定価952円(税別)
集録作品
・第一羽:鳥を売る人
・第二羽:鳥探偵スリーバー
・第三羽:鵬の墜落
・第四羽:塔に飛ぶ鳥
・第五羽:本牟智和気
・第六羽:鳥を見た
・口絵解説
・あとがき
概要と主観
先に紹介済みの『私家版魚類図譜』も素晴らしいけど、こちらも秀作揃いの一冊。
『幻想漫画の巨匠・諸星大二郎、待望の最新作品集。
未来の地下都市で、古代日本で、そして現代のベッドタウンで……
謎の翼が、あなたを誘う。』引用:『私家版鳥類図譜』より

なんて魅力的な誘い文句!!
カバーにまかれた帯にこれが書かれていては、ふらふらとレジへ向かわざるを得ないでしょう。
作品ピックアップ
鳥を売る人
高層ビル、地下鉄、排水溝。巨大な建築物の残骸が幾重にも積み重なってできた地下の街。
そこに暮らす少年イポー。
ある日その街に、古い排水溝を伝って行商人の男がやって来ます。
男はいくつもの荷物と一緒に、大きな籠の中に見慣れない生き物を入れていました。
イポーはそれが何か男に尋ねます。
男はそれが『鳥』だと教えてくれました。
男が商売をはじめると人々は次々男を訪ねます。みな行商人の持つ珍しい品々に興味津々。
そして見たこともない鳥という生き物について色々質問しますが、それは男にもわかりません。
何の役に立つのか?
食べられるのか?
ペットになるのか?
街の人達も一緒になってあれこれ考えますが正体がわからず、結局売れずに終わります。
行商人が諦めて別の街へ向かおうとする中、
街の変人ショートさんが趣味で集めた古代のデータから、鳥がどんな生き物かを知るヒントが見つかります。
『翼』と『空』
しかしこの街に空などありません。
するとイポーが空が見える場所を知っていると言いました。
ショートさんは嫌がる行商人を引き立て、鳥の正体を確かめる為に空のある場所をイポーに案内させます・・
塔に飛ぶ鳥
その昔、世界は一本の塔でした。
『タリマ』という名の街に、ある日記憶を失った一人の若い男が現れます。
彼はコマーという名を与えられタリマに留まることを許されますが、
正式な住人と認められるまで辺境で暮らすことになりました。
辺境の地は塔の一番端の地域であり、辺境の最も奥には塔の壁があります。
そして壁の向こうは塔の外、つまり世界の外であり、世界の外は塔に群がる鳥たちがいるだけの虚空だと、誰もが信じていました。
そんな虚空を人々は恐れ、壁の穴の向こうに見える景色から目を背けます。
しかし、コマーは辺境を恐れるどころか、壁に近づき世界の外を見ずにはいられませんでした。
塔の外、虚空に広がる外の世界に関心を持たずにはいられないのです。
なぜならコマーは・・
諸星大二郎【私家版魚類図譜】
出版情報
『私家版魚類図譜』
・作者:諸星大二郎
・短編全7話
・発行所:講談社
・2007年発行
・定価1048円(税別)
集録作品
・第一尾:深海人魚姫
・第二尾:鮫人(こうじん)
・第三尾:魚が来た!
・第四尾:魚の学校
・第五尾:魚の夢を見る男
・第六尾:深海に還る
・第七尾:ネタウナギ
概要と主観
夕べ(2013年01月07日)NHKで放送された生きた「ダイオウイカ」の映像。

深海生物の、夢、幻の様な美しさ!素晴らしかったです。
それをみていてすぐさま思い出したのがこちら、諸星大二郎先生の『私家版魚類図譜』。
作品ピックアップ
深海人魚姫
第一尾『深海人魚姫』に登場する深海生物が、NHKの番組内で多数紹介されていて、

楽しかった♪
死んで打ち上げられた深海生物は皆グロテスクで、気味の悪い生き物だとばかり思っていましたが大間違!
生物発光の神秘的な美しさはこの世のものとは思えません。

あ~!録画してみればよかった;;
魚の夢を見る男
イチ押しは第五尾『魚の夢を見る男』。
これ!この感じ。読むたびに感じる、この感じ。
閉塞感でいっぱいの心を解放する術がみつからず、もどかしさが更に胸を塞ぐような

読んだらわかります