コンタロウ【不思議な夢物語】
出版情報
『不思議な夢物語』
・作者：コンタロウ
・短編全11話
・発行所：ワニブックス
・1991年発行
・定価520円
集録作品
・第一話：凍てついた夢
・第二話：夢物語
・第三話：長く暑い夜
・第四話：ＷＡＲＡＳＨＩ’８８(ワラシ’８８)
・第五話：デフォルメ
・第六話：約束の地
・第七話：吉野ヶ里パニック
・第八話：コントラクト
・第九話：パパの贈り物
・第十話：プロレスストーリー
・第十一話：破滅型
作品ピックアップ
夢物語
別次元に存在するもう一人の自分を、互いに夢に見続けるお話です。
【あらすじ】
仁は子供の頃から、もう一人の自分を夢に見ていました。
いじめれて口惜しい思いをした時、夢の自分がいじめっ子に立ち向かい、
授業で問題が解けず恥をかいた時は、夢の中でスラスラと解いてみせる。
はじめこそ、現実の自分も夢の自分のようになると思っていましたが
そのうち夢の自分はどんどん優等生になっていき、
現実の自分とはかけ離れていきます。
現実の仁がしがない三流の人生を歩む中、
超一流のエリートコースを突き進む夢の中の仁。
ところが、
エリートの仁の方も、同じように三流の自分を夢に見続けていたのです。
コントラクト
異例中の異例でスピード出世した社長の稲葉。
総務部の竹田は、その華やかな経歴を自伝にまとめる大役を命じられました。
そしてその間、秘書代わりとなり稲葉と行動を共にすることになります。
翌日、一緒にゴルフコースを回る中、
稲葉のもとに東洋銀行の取締役石山が倒れたと連絡が入ります。
石山は稲葉同様、異例のスピード出世で話題になった人物でした。
その帰りの車中で稲葉は竹田に
『次に倒れるのは日本商事の内村社長だ』と予告。
すると本当に内村は亡くなり、稲葉はその日から行方不明となります。
社長の突然の失踪に社内が混乱する中、
竹田は稲葉から密かに別荘に呼ばれ、そこで出世の秘密を聞かされます。
稲葉が入社間もない頃のこと。
出世は絶望的となる大失敗をして、失意から自殺を考えていました。
その時、どこからともなくひとりの子供が現れてこう言います。
おじちゃん何か辛いことがあるの？
ああ、死にたいほど辛いんだ。
じゃあ助けて上げようか？その代わりおじちゃんの魂を頂戴。
ああ、いいよ。お安い御用だ。。
そして亡くなった石山と内村は、
きっと魂ではなく命を引き換えに契約したのだろうと言います。
疲労からくる妄想だと竹田は思いますが、
子供との契約満了だという真夜中、
稲葉は本当に倒れて再起不能となりました。
その後、
倒れた稲葉社長の一派と目されてしまった竹田は
経営陣の一新で出世コースから外されると噂になります。
絶望し途方に暮れる竹田の前にあの子供がやってきて
稲葉の時と同じように言いました。
助けてあげようか？
『チャンスかも知れない！』一瞬そう考えた竹田でしたが、
社長のように魂と引き換えの人生なんていやだ！
俺は何にも束縛されない自分の人生をいきるんだ！！
そう叫んで竹田はその子供から逃げ出します。
それから一年。
竹田は予想に反して大きなトラブルもなく、
幸せな結婚をしようとしていました。
しかし、神父から促された誓いの言葉に何故か違和感をおぼえます。
さらに月日は流れ、ある休日の朝。
夕べは遅くまで残業で疲れていのに、
早くから妻に起こされ子供を遊びに連れて行くよう急かされます。
たまの休みにのんびりもできない生活。
いつの間にか自分の人生はがんじがらめだ。どうしてこんなことに···
その時気づいたのです。
自分も、子供に自分の一生を売り渡す契約をしたことに。
よっぱの戯言
私は朝起きるまで一度も目が覚めないというのは極稀で、眠りが浅いせいか大抵夢を見ます。
二度寝三度寝を繰返し、一晩でいくつもの夢を見ることもしばしば。
現実ではあり得ないミラクルが展開される世界。夢って本当に不思議です。
そんな夢を題材にした漫画は当然管理人の大好物。
その中の一冊がコンタロウさん作「不思議な夢物語」
コンタロウさんという方はこの手の漫画は書かない方だと思います。
タッチがいかにも少年漫画ですから。タイトルにひかれてチャレンジ精神で購入しましたが、
良かったです♪
夢にまつわる話は第一話と第二話だけですが、他もかなりいいですよ。
子供の頃の様に空を飛んだり別の生き物に変身したり、そんな夢をみる事はほとんどなくなりました。
今みる夢はなんだかリアルです。
しかし、良くも悪くも夢は魅力的で、目が覚めるとすぐまた夢の世界に戻りたくなります。
