山岸凉子の短編代表作【天人唐草】失敗を恐れ逃げた結果が怖過ぎる

山岸凉子の短編代表作【天人唐草】失敗を恐れ逃げた結果が怖過ぎる 怖い漫画
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山岸凉子【天人唐草】

山岸凉子【天人唐草】

出版情報

サンコミック『天人唐草』
・作者:山岸凉子
・短編全4話
・発行所:朝日ソノラマ
・1980年発行
・定価380円

集録作品

・天人唐草
・キルケー(魔女)
・夏の寓話
・悪夢

概要と主観

諸星大二郎先生に次いで所蔵の多い『山岸凉子』さんの作品をご紹介。

収集の発端となったのがこの一冊『天人唐草』です。

サンコミックの表紙カバーはどれもなかなか魅力的ですね。

山岸先生の予備知識が一切なく

表紙からは話の概要が何もわからないこの先品を手に取ったのも

このカバーデザインのおかげと感謝しています。
 

作品ピックアップ

天人唐草

ごくごく平凡な女性が狂人になってしまうお話しです。

 

主人公の名は岡村響子。

彼女は時代錯誤なほどに古風で亭主関白な父親から

女は男を立て慎ましくあるべきと厳しく躾けられます。

 

そして父親から叱られる度に激しく委縮し

極端に内向的な女性に育っていきました。

 

高校を卒業後、父親のコネで役所勤めをはじめるも

些細なことで傷つく響子に上司は呆れ

響子自身も何も上手くできないことに焦りを募らせます。

 

職場の歓迎会の帰り道、

自宅まで送ってくれた同僚の佐藤に

 

男性
佐藤

あんたさあ、みえっぱりだよなぁ。

 

そう言われると、

自分に与えられるにはあまりに理不尽と思われるその言葉に

響子の気持ちは涙と共に堰を切ったようにあふれ出しました。

 

すると佐藤はこう続けます。

だから、うまくやれないってことがなんでそんなに大変なことなんだい?

『なんでもうまくやれる素晴らしい女だ!』と、あんたいわれたいんだよね。だれかに。

『だれかにそうみてもらいたい』それが ”みえ” なんだよ。

他人の目を、他人の評価を気にし過ぎるんだよ。

引用元:山岸凉子『天人唐草』より

 

この指摘は彼女の価値観を変え、人生を変える大きなチャンスでしたが

一見軽薄そうな佐藤は響子の理想の男性像とはほど遠く

また玄関に出迎えた響子の父親が、そんな佐藤を見下したため

彼女は彼の指摘を軽んじ突き詰めずに聞き流してしまいます。

 

自身の男性観自体が大きく歪んでしまっていることや

大事なチャンスを逃したことなど気づきもしない響子。

 

考え方はさらに後ろ向きになり

彼女は面倒な人間関係のない生活に逃げ込んでいきますが

その選択の先には大きな落とし穴が待っているのでした・・・

 

よっぱ
よっぱ

現実を受け止めないで問題を先送りすると、いつかそのツケが回ってくることを教えてくれます。誰にでも起き得そうで怖いです。やはりここぞというところでは人間奮起しなくちゃ駄目なんですよね。

 

山岸さんの作品の中で似た様な主題の作品に『朱雀門』というのがあります。

 

悪夢

実話をベースにした主人公の魂衰退の物語。

 

マリー・フローラ・ベルは、わずか11歳で2人の子供を殺害。

終身拘禁の判決をうけて以来、服役が続き監獄の中で成長していきます。

大人になった彼女は囚人仲間と脱獄を図り、仮出所の望みも絶たれました。

一生を囚われたまま終わる人生・・・

 

希望のない生活に陥った時人の心はどう蝕まれていくのか。

よっぱ
よっぱ

しかしこの主人公は、はなっから心壊れてたと思いますけどね、

 

女の業を描く『ささやななえ』も必見!


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