ささやななえ【生霊|いきすだま】
出版情報
アスカコミックス『生霊|いきすだま』
・作者:ささやななえ
・短編全2話
・発行所:角川書店
・1988年発行
・定価380円
集録作品
・生霊(いきすだま)前編
・生霊(いきすだま)後編
・鉄輪(かなわ)前編
・鉄輪(かなわ)後編
1970年代の少女漫画家「24年組」
前回の山岸涼子さん繋がりで「ささやななえ」さんをご紹介。
調べましたら、昭和24年(1949年)頃の生まれで、
1970年代に少女漫画の革新を担った日本の女性漫画家達の一群を「24年組」と呼ぶそうです。
へ~
この一冊、2話共に人間業を超えた男に対する女の執着が描かれています。
作品ピックアップ
生霊
まずは一話目の「生霊」
『いきすだま』と読みます
【あらすじ】
吉野良二と同じクラスの浅茅優子はおとなしくて目立たない女子生徒。
ある日クラスメイトが、
浅茅のドッペルゲンガーに出会ったと騒ぎ、学校中の噂となります。
気味悪がられる浅茅を良二は何気なくかばいますが、
以前から良二に気があると思われた浅茅は、それをきっかけに妙に馴れ馴れしくなっていきます。
真理子という周知の彼女もいる良二は、タイプでもない浅茅を次第に無視するようになりますが、
そんな中、良二の家から帰宅する途中の真理子が事故で死んでしまいます。
責任を感じ激しく落ち込む良二に対し、いよいよ公然とつきまとう浅茅。
真理子の死のショックと浅茅の態度にイラ立ちを募らせる良二でしたが
白井という女子生徒から告白され、励まされたことで元気を取り戻していきます。
しかし、間もなく白井は良二の目の前でトラックに轢かれ死んでしまうのです。
事故の直前、白井が浅茅の名を叫んだのを聞いていた良二は、そのことで浅茅の自宅を訪れます。
浅茅は何も知らないと言いながら良二の腕に絡みつき良二を誘います。
これに腹を立てた良二は、これっぽちの好意もないと断固拒絶するのですが、
それに対し浅茅は
やだ、おかしい良二くん、あたしを好きなくせに我慢しなくていいのよ
ここから!
良二の怒りと浅茅の怖さが炸裂します。
これの何が恐いってこのガチガチ強固な「妄執愛」
相手の気持ちなど一切お構いなし。
自分は絶対に受け入れられるというストーカー行為の根源を担う発想が恐過ぎます。
昔、私につきまとったストーカー男も、これとそっくり同じことを言っていました。幽体離脱はしなかったけど。
挙げ句殺しておきながら、
一片も顧みることなく次の男にターゲットを移すなんて、タチが悪過ぎます!
鉄輪
そして「鉄輪(かなわ)」
丑の刻参りの時頭に乗っけるあれです
こちらの主人公は一転ごく普通の女性です。
しかし、徐々に膨らむその強い「愛情」そして「独占欲」が果ては超人的な力を生み出すお話。
この主人公、自分の男を守るため、すでに死んで亡霊になったライバルをメッタ刺しにして殺します。
愛は強し
どちらの女性も魂が身体を抜け出しますよ